ソニーのPinterest活用事例から学ぶ、初めてのPinterestマーケティング | Web戦略ガイド

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ソニーのPinterest活用事例から学ぶ、初めてのPinterestマーケティング

Social Media ExaminerにソニーはどうやってPinterestのロックスターになったのか?(How Sony Became a Pinterest Rock Star)という記事でソニーのPinterest(ピンタレスト)活用事例が掲載されていたので、要点をまとめ、解説を加えておきたい。

その前にPinterestについて私がこのブログに書くのは初めてだが、なぜこの段階でPinterestについて書こうと思ったのかを少しお話しよう。

Pinterestがもたらす、Eコマースの新しいチャンス

先日、Pinterestに楽天が出資をした。これは今後のEコマースの流れを大きく変える出来事だ。その意味については熊坂仁美さんの楽天がPinterestに出資する効果を考える(三木谷氏インタビューから)がよくまとまっているので、参照して欲しい。

このうち特に注目しておきたいのは、日本語ローカライズによる日本語版の提供と、Pinterestと楽天IDの統合だろう。日本のPinterestユーザーがいっきに拡大し、日本のEC市場はもう一段高いレイヤーに登ると思われる。

また、Pinterestを通して日本のプロダクトがより海外の人たちの目に触れる機会が増えるので、輸出型のEコマース市場も広がる可能性を秘めている。特に日本的価値をもった製品は、大きな恩恵をうけるチャンスがある。

こういう背景を考えると、あなたがEコマース事業に取り組んでいるならば、できる限り早くPinterestをマーケティングに組み込んでおくことをオススメする。今回のソニーのPinterest活用事例はその大きなヒントになるだろう。

ソニーのPinterest活用事例

ソニーがPinterestにアカウントを解説したのは2011年12月だ。約半年後の2012年6月には以下のような結果が出ている。

  • ソニーのブランドページをピンタレストに公開して、6ヶ月で2,500人のフォロワーを獲得
  • ピンタレストにページを公開してからピンタレストから800%増のトラフィック
  • ソニーストアーにおけるPin Itボタンのクリックはツイートボタンの10倍
  • 400万を超えるブランドインプレッションを獲得Curalateによる測定)

http://pinterest.com/sonyelectronics/

ピンタレストが機能するためにソニーが取り組んだ6つのこと

1.ユーザーが何をすでにピンしているのかをリサーチ

ソニーのPinterest活用チームは、リサーチによってソニーの製品だけでなく、広告、ロゴ、ソニーのカメラで撮影された写真、ソニーと関連性のある様々なクリエイティブなどをピンしている初期のコミュニティを見つけた。ブランドページはその拡張になっている。

ソニーのファンがすでにブランドと関連する多数の画像をアップしていた。
ソニーのファンがすでにブランドと関連する多数の画像をアップしていた。

チームはピンタレストマーケティングの目標を3つに絞った。

  • ウェブサイトの売上を上げる
  • ブランドに対する親近感を高める
  • ソニーコミュニティーを拡大する

ただし、売上を上げたりコミュニティーを拡大することを考える前に、最初の3ヶ月間は、10のボードを作成し画像を登録するなど、アピールできるコンテンツづくりにかかりきりだった。主にユーザーが登録しているソニーと関連する画像をRepinすることに費やしている。

2.従業員の参加

Pinterestにページを開設すると、社内コンテストを実施し、数百人が参加した。ソニーのボードをフォローしてチェックしたり、自身のボードを作ることを促進。彼らが作ったコンテンツをソニーはRepinすることでボードを充実させていった。中には30年以上勤めている人もいて、そういう人がプロジェクトチームのメンバーが見たことも聞いたこともないようなソニーの資産をコンテンツとして掘り起こしてくれた。

チームはまたコーポレート・コミュニケーションチームとも接触した。彼らは価値あるコンテンツづくりに貢献した。

社内のサポートがフィードバックとなり、何が機能し、何が機能しないかを理解する手助けとなっている。

3.ピンタレストにウェブサイトを最適化

Pin Itボタンをソニーストアーの商品詳細ページに設置。Pin Itボタンからのピン数が増加した。

4.ボードの戦略的な混在を設計

Retro Sony products や Old School Sony Ads のボードはブランドのファンにアピールするために作成され、Sony Art のボードはソニー製品やブランドロゴなどを使った作品を掲載している。

Retro Sony Products

Retro Sony Productsは、ソニーと技術の進歩を感じさせ、ブランドイメージに貢献している。
Retro Sony Productsは、ソニーと技術の進歩を感じさせ、ブランドイメージに貢献している。

Old School Sony Ads

ソニーの広告・クリエイティブ。ブランドがどういう製品をリリースし、何を伝えてきたかがわかる。
ソニーの広告・クリエイティブ。ブランドがどういう製品をリリースし、何を伝えてきたかがわかる。

Sony Art

ソニーのブランドロゴやイメージを含んだ画像をRepinしており、楽しくユーザーのSonyに対する愛情を感じられるボードになっている。
ソニーのブランドロゴやイメージを含んだ画像をRepinしており、楽しくユーザーのSonyに対する愛情を感じられるボードになっている。

また、ソニーはより広く、テック系に興味が無い人たちとのコミュニケーションを創造するために、ソニーレコーディングアーティストのボード Sony Artist Style や、ソニー製品が配置できるような部屋のイメージを集めた Rooms We’d Love to Live In を作成している。

Sony Artist Style

ビヨンセをはじめとするアイコンを登場させ、エンターテイメント、ショービジネスとブランドが深く関わり支えていることを再認識させる。
ビヨンセをはじめとするアイコンを登場させ、エンターテイメント、ショービジネスとブランドが深く関わり支えていることを再認識させる。

Rooms We’d Love to Live In

先進的、個性的な部屋に家電がある写真をRepinし、ソニーがどのように生活に関わりたいのかを提案している。
先進的、個性的な部屋に家電がある写真をRepinし、ソニーがどのように生活に関わりたいのかを提案している。

加えて、セールスプロモーションの一環として Brand New Sony Products と Sony on Sale を設置。ソニーストアーへ直接リンクしたボードになっている。

Brand New Sony Products

それぞれのボードでユーザーの興味を引きつけ、その上で新製品についての情報もきっちり伝えている。
それぞれのボードでユーザーの興味を引きつけ、その上で新製品についての情報もきっちり伝えている。

Sony on Sale

Sony on Sale も Brand New Sony Products と同様に、ソニーストアーの各製品ページヘランディングさせ、直接購買に繋がる導線になっている。
Sony on Sale も Brand New Sony Products と同様に、ソニーストアーの各製品ページヘランディングさせ、直接購買に繋がる導線になっている。
5.オリジナルコンテンツの作成

ソニーのカメラをハート型に配置して撮影したオリジナルの写真にはRepin、Like、コメントなどポジティブな反応があった。

ソニーが作成したオリジナル写真

また、 Sony on Sale で Pin Deals(Pinディールキャンペーン)を行なっている。ディールの内容について説明しよう。ソニーは Sony on Sale のボードにソニーとユーザーが取引する商品の画像をアップし、ユーザーはその写真をRepinする。目標Repin数を20件と設定し、そのRepin数に達した場合は、キャンペーンコードが書かれたページヘ、画像のリンク先URLが変更されるというものだ。ユーザーはそこからキャンペーンコードを取得し、オンラインストアーの決済時にコードを入力すると65%オフなどの大幅な割引が受けられる。

The SecondSony Pin Deal

キャンペーン2つ目の商品。20以上のRepin獲得で画像のリンク先がクーポンコードが記されたページヘ変更される。
キャンペーン2つ目の商品。20以上のRepin獲得で画像のリンク先がクーポンコードが記されたページヘ変更される。
ディールが成立し、ソニーストアーの商品ページへのリンクから、ブログのページへのリンクへと変更されている。
ディールが成立し、ソニーストアーの商品ページへのリンクから、ブログのページへのリンクへと変更されている。

You’ve unlocked a Sony Pin Deal on Pinterest

リンク先はブログのエントリーページとなっており、そこには65%オフになるクーポンコードが表示されている。
リンク先はブログのエントリーページとなっており、そこには65%オフになるクーポンコードが表示されている。

こうしているうちに毎月だんだんとPinterestからソニーストアーへのトラフィックが増加した。2012年5月の中旬にはPinterestからのトラフィックは800%増となった。

また、ソニーストアーのPin itボタンはツイートボタンの10倍クリックされるようになった。

ROI(投資利益率)を現状で計測することは難しいが、ソニーマネージメントはリソースを活用するための場所としてプラットフォームに投資する時であることを理解し、行く末を見守っている。

6.他のチャネルでプロモーションを行う。

現状ではピンタレスト上でフォロワーを見つけるのは難しい作業だ。

チームは最近、ブランドモニタリングのために PinreachCuralate のようなツールを導入した。また、最も効果的な戦術は外部のサイトで告知をしてPinterestページヘ訪問を促すことだ。ブログに告知を書いて、それを他のソーシャルメディアやメールの配信、メディアリリースを行う。ブロガーなどを通じてそれが伝わり、Pinterestでのフォロワーが増える。

ソニーのブログにおけるPinterestの告知

まとめ

今回取り上げたソニーのPinterest活用事例は参考になることがたくさん含まれているので、マーケティングチームとぜひ共有してそこから自社のPinterest活用に発展させてほしい。

Pinterestの活用を考えた場合、「どのようなボードをミックスすれば、ユーザーにブランドを伝えられるのか。」という視点とともに、「興味を引き、外部サイトの商品・サービスのページへ引き込むためには、どのようなボードと写真を準備するべきか。」を考えるといいだろう。前者はRepinを中心に行なって構わないが、後者は自分たちで作り上げる必要がある。そしてそのボードをPinterestユーザーにフォローしてもらうために様々なメディアでフォローを促すといいだろう。その一環としてディールキャンペーンを行うのもいい方法だ。

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